配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身または一定期間、その建物に無償で居住することができるようになります。
これまでは配偶者の居住建物を取得することを優先したことで、他の財産を受け取ることができないケースがありました。
改正によりで居住する権利だけを得ることでその他の金銭財産を取得し、残された配偶者の生活を守ることができます。
預貯金が遺産分割の対象となる場合に、各相続人は遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で預貯金の払戻を受けることができるようになります。
これまでは相続開始後の生活費や葬儀費用、相続債務の弁済などの資金需要があっても遺産分割が成立するまでは被相続人の預金の払戻ができませんでした。
改正によりこれらの資金需要に対応できるよう一定金額までは家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払を受けられるようになりました。
これまで自筆証書遺言はすべて手書きである必要がありましたが、方式の緩和によりパソコンで作成した目録を添付することで足りることとなりました。(2019年1月13日施行)
またこれまで自筆は自己管理でしたが、新たに法務局での保管できる制度が創設されました。
遺言者の死亡後に相続人や受遺者らは全国にある遺言書保管所において、遺言書が保管されているか調べること、写しの交付を請求すること、また閲覧することができます。
相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、相続人に対して金銭の請求をすることができるようになります。
これまでは相続人以外の親族(例えば同居のお嫁さん)が被相続人の介護を尽くしても相続財産を取得できませんでした。
そこで介護を全く行っていなかった相続人に対して金銭を請求できるようになりました。
遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害等に相当する金銭を請求できるようになります。
これまでは遺留分減殺請求権を行使すると、遺産が共有状態となり持分権の処分に支障が出るおそれがあります。
これを金銭債権化することで共有関係が生ずることを回避できます。また遺言による目的財産を相続人等に与えたいという遺言者の意思を尊重することできます。