大まかに言えば、相続財産の合計額が基礎控除額を超える場合に申告が必要です。また小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用する場合等にも申告が必要です。
基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で算出します。
A3.
相続税の申告書は、被相続人が死亡したときの住所地の所轄税務署長に、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人死亡の日)から10ヶ月以内に提出します。
相続人が居住していた自宅の敷地や事業を行っていた店舗の敷地などは、これを相続した人が一定の要件を満たせば評価減を受けることができる制度です。具体的には自宅の敷地は330㎡まで80%の評価減、店舗敷地は400㎡まで80%の評価減、賃貸物件等の敷地は200㎡まで50%の評価減がありますが、適用を受けるには申告が必要です。
二世帯住宅は親と子が同じ敷地を使って生活していると考え小規模宅地等の特例の対象となります。
被相続人の配偶者が相続等により取得した財産金額が1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額までは相続税がかからないという制度です。この適用を受けるには申告が必要です。有利な制度ですが二次相続を視野に入れた場合、トータルでかかる税金を試算したうえでどのように相続するか判断されることをお勧めします。
A7.
対象になる財産
対象にならない財産
A8.
相続税は被相続人の財産に対して課税されますが、これは形式的な名義にとらわれず実質で判断されます。名義預金はまさにこの代表例です。名義を親族などとしていてもその存在を知っていたのは被相続人だけとなると、その実質的な所有者は被相続人であると判断されます。実質として誰が管理していたかなどがポイントになります。
A9.
原則、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続人が引き継ぐことになりますが、限定承認または相続放棄の手続きによりこれを免れることができます。
限定承認
相続があったことを知った日から3ヵ月以内に相続人全員で家庭裁判所に対して限定承認をする旨を申述すれば、相続によって得たプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を引き継ぐことになります。相続財産がトータルでプラスなのかマイナスなのか不明な時に用いられることが多い方法です。
相続放棄
相続人がプラスの財産もマイナスの財産もすべての受取りを拒否するという方法です。相続があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に相続放棄する旨を申述します。限定承認は相続人全員で合意する必要がありますが、相続放棄は各相続人が単独で手続きできます。
主な相続手続きは以下の通りです。
A11.
最も重要なのは相続を『 争族 』にしないことです。これを回避するためには遺言書を作成し、被相続人の意思を相続人に伝えること、そして予めどのように相続させたいかを親族で話し合いの場をもち、想いを伝えることではないでしょうか。意思のない相続はもめ事を引き起こします。話しにくいと思いますが、想いを残すためにも実行しましょう。遺言によって相続税が大きく変わるため作成にあたっては税理士に相談するとよいでしょう。
A12.
現預金と違って不動産は相続税評価額によって評価されることで、通常時価よりも低い金額となるため、現預金をもっているより不動産を活用したほうが有利と言えます。また他人に賃貸している不動産は借地権等の関係でさらに評価額を下げることができます。ただ、相続税は原則現預金によって納税することになるため現預金と不動産のバランスが悪いと相続人が資金繰りに苦労することになります。納税対策とのバランスに注意して節税対策を行いましょう。
A13.
個人で土地・賃貸物件の経営をしている場合、その収入はすべてその所有者に集中し所得税が課されます。所得税は累進課税であるため所得の多い人ほど高い税金がかかります。不動産会社を設立することによって、個人から法人に賃貸物件を売却し、所有を移すことで法人の収入にできます。法人の役員をご家族の方とし、給与を支払えば所得を分散することになり、所得税を減らすことができます。また法人が賃貸物件を所有することで土地に借地権が発生するため一定の要件を満たせば評価減を受けることもできます。
A14.
生命保険は相続税の計算上、500万円×法定相続人の数の非課税枠が設けられています。相続人が3人の場合、1,500万円までは保険金を受け取っても保険金に対して課税されないということです。現金で1,500万円をもっているよりも保険金に変えた方が有利と言えます。また保険金は誰を受取人にするかを指定することができるため、遺産の分け方の観点からも優れています。さらに現金で受け取ることができ、納税資金の確保にも役立ちます。
A15.
相続税の申告のうち約3割が税務調査を受けていると公表されています。資産家には税務署がマークしていると考えられるため、税務署が推定している申告と相違がある場合などは高い確率で税務調査があるでしょう。そこで税理士の書面添付という制度があります。詳しくはコチラ。
通常税務調査が入る場合は相続人に連絡が入りますが、書面添付を活用している場合はこの連絡がまず申告代理を行った税理士に対して入ります。そして税理士に対し意見聴取が行われ、それでも不明な場合は税務調査があり、意見聴取で納得すれば調査省略となります。税務署にとっても事前に疑問点を解消することができ双方にとって有益な制度と言えます。
A16.費用は料金案内をご覧ください。料金は申告の手間によっても変動します。現預金が大半を占める申告と、不動産が大半を占める申告では処理の手間が変わるからです。なるべくご相談者様の予算に沿うよう努力致しますのでお気軽にご相談ください。
尚、相続により不動産などの所有権移転登記等が必要な場合は、司法書士の仕事になるため税理士報酬とは別途料金がかかります。ご了承ください。
遺留分
兄弟姉妹以外の相続人のために、遺産について留保された一定の割合のことをいいます。
つまり、兄弟姉妹以外の相続人は、遺言の内容に関わらず一定割合の相続をすることができます。
遺留分減殺請求権
遺留分を侵害するような遺贈や贈与が行われたとき行使することにより、遺贈や贈与の効力を失わせることができる権利のことをいいます。
永小作権
小作料を払って他人の土地を耕作または牧畜のために使う権利のことをいいます。
危急時遺言
死期が迫り署名押印できない遺言者が口頭で遺言をし、証人がそれを書面化する遺言の方式です。
寄与分
遺産分割にあたって、ある相続人が被相続人の生前に財産を増やすなど特別の貢献をした場合に、通常の相続分よりも上乗せして与える遺産額のことをいいます。
減価償却
有形固定資産(ただし土地などの非償却資産を除く)の取得原価から残存価額を控除した金額を、当該資産の使用可能期間にわたって、一定の方法で費用として配分する手続をいいます。
公正証書
公正証書は、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書のことをいいます。公文書ですから高い証明力があります。
公正証書遺言
公証役場で公証人に作ってもらう遺言のことをいいます。
《民法969条》
公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
公租公課
国および地方公共団体が公共的目的のために課する租税およびその他の負担の総称をいいます。
公租:国税や地方税などの租税
公課:租税以外のもので各種公共団体により徴収されるもの
固定資産税評価額
地方税法にもとづく土地、家屋などの評価額のことをいいます。
財産評価通達
国税局の考える相続税法上の時価の算定方法の指針を示したもので法律ではありませんが、実務上この通達は、非常に強い影響力を持っています。 具体的には土地の地目別に、相続または贈与が行われた年の1月1日を基準日として評価することを定めているもので、土地の地目は、宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地とされています。
自筆証書遺言
《民法968条》
全文を自分で書く遺言のことをいいます。
成年後見制度
成年後見制度は精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように、家庭裁判所に申立てを行い、その方の援助してくれる人を付けてもらう制度であり、自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)の理念をその趣旨としています。
相続時精算課税制度
生前贈与の受贈者が贈与時に贈与税を支払い、その後の相続時にその贈与財産と相続財産を合計した価格をもとにして相続税を計算して、相続税からすでに支払った贈与税を控除するという制度のことをいいます。
尊属
親等上、父母と同列以上の血族のことをいいます。
宅地比準方式
該当する土地が宅地であるとした場合の価額から、その土地を宅地に転用する場合にかかる造成費に相当する金額を控除した金額により評価する方法をいいます。
地上権
他人の土地に建物・橋などの工作物または竹木を所有するため、その土地を使用する物権のことをいいます。
直系
人と人との間の血統が親子の関係で続いている系統のことをいいます。
特別受益
被相続人の生前に、特別に財産をもらうことを特別受益といい、 遺贈(相続時に遺言で財産を与えること)も特別受益にあたります。 相続財産に特別受益を加えたものが、全相続財産となります。
倍率方式
倍率方式は、評価しようとする宅地の固定資産税評価額に国税局長の定める一定の倍率を乗じて評価する方式のことをいいます。
卑属
親等上、子と同列以下にある血族のことをいい、子、孫、甥、姪などのことをいいます。
秘密証書遺言
「内容」を秘密にしたまま、「存在」のみを証明してもらう遺言のことです
《民法970条》
秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。
分割調停
遺産分割協議がまとまらない(あるいは、できない)場合、利害関係のない第三者的な立場にある家庭裁判所という公的機関を間に入れての話し合いを行う場をいいます。
法定相続人
民法の規定により相続人になる人の範囲と順位が決まりますが、その規定により決定された相続人のことを法律の定める相続人(法定相続人)といいます。 具体的には被相続人(亡くなった人)の子や孫等の直系卑属(養子を含む)、父母・祖父母等の直系尊属、兄弟姉妹で、配偶者は常に相続人とされます。
類似業種比準価格方式
業種の類似する大会社の平均株価に比準させて、評価会社の株式価格を求める方式をいいます。
路線価方式
路線価方式とは、評価しようとする宅地が面している道路に付された標準価額である路線価に地積を乗じて評価する方式のことをいいます。