Q8.財産の分配

Q8.財産(遺産)の分配はどうやって決めたらいいの?

A8.財産の分配は遺言書のある、なしによって分かれます。遺言書の存在は大きいですね。

(1)遺言書がない、あるいは遺言書はあるが法的に有効でない場合

遺言書のない場合等は、法律の定める相続人(法定相続人)が財産を引き継ぐことになります。これを法定相続といい、財産の取り分が決められています。例えば夫婦と子供2人の世帯で夫が亡くなった場合、妻は1/2、子供はそれぞれ1/4ずつとなります。しかし、相続人全員の協議により財産を自由に分配することができます。

なお民法上の財産評価については、特別受益財産・寄与分の評価基準時は相続開始時、それ以外の遺産の評価基準時は分割時の時価(客観的な交換価値)という解釈になっています。

(参考) 法定相続人

民法の規定により相続人になる人の範囲と順位が決まりますが、その規定により決定された相続人のことを法律の定める相続人(法定相続人)といいます。具体的には被相続人(亡くなった人)の子や孫等の直系卑属(養子を含む)、父母・祖父母等の直系尊属、兄弟姉妹で、配偶者は常に相続人とされます。順位についてはA10(参考)欄の「法定相続分」を参照して下さい。

(2)遺言書がある場合

遺言書がある場合は、原則としてその内容にしたがって財産の分配がおこなわれます。ただし、財産の一定部分を一定範囲の相続人が取得できる遺留分制度(A11③参照)というのがありますので注意が必要です。この制度は、遺言により遺留分を侵害された相続人は、相続開始等から一年以内に遺留分減殺請求権を行使することによって財産の侵害部分を取り戻すことができるというものです。上記(1)のケースでは遺留分は妻1/4、子供は1/8ずつとなります。

なお、ケースとしては少ないですが、受遺者(遺言によって財産の贈与をうける者)は遺贈財産(遺言によって贈与された財産)を放棄し、改めて相続人全員の協議によって財産の分配ができます。