Q12.遺族年金

Q12.遺族年金をより多く受給するためには?

A12.「より多く受給するためには」の前に、万が一の時に受給できる条件にあてはまっているかをチェックしておくことが大切です。

公的年金の中で死亡に関する保険給付として、遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金(厚生年金)があります。どちらもそれぞれ受給要件があり、誰もがもらえるとは限りません。「より多く受給するためには」の前に、万が一の時に受給できる条件にあてはまっているかをチェックしておくことが大切です。

(1)遺族厚生年金の支給要件

ポイント:死亡した人(被保険者)の年金加入歴とその保険料納付済期間をチェック!

①在職中の被保険者の死亡(※保険料納付要件あり)

②被保険者の資格喪失後に、被保険者期間中に初診日がある傷病の初診日から5年以内に死亡(※保険料納付要件あり)

③1級・2級の障害厚生年金の受給者の死亡

④老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たした人の死亡


※①②の保険料納付要件とは、

国民年金の被保険者期間がある場合、3分の2以上の保険料納付済期間(保険料免除期間含む)があることが必要です。

⇒未納(免除制度や学生納付特例制度を除く)のままにしておくと2年の時効がはたらいて納付できなくなります。

(2)遺族厚生年金の受給資格者と受給権者

ポイント:受給資格者は、死亡時に死亡者によって生計維持されていた遺族で配偶者(内縁関係含む)・子・父母・孫・祖父母です。妻以外は一定の年齢要件があります。


①生計維持関係の有無は、同一世帯(原則として戸籍謄本と住民票が同一世帯)であることが必要です。

②生計を維持されていた人とは、年収850万円以上の収入を将来にわたって得られない人をいい、前年の収入が判断基準になります。現在の年収が850万円以上であっても、「将来にわたって得られない」ものであれば、生計維持関係ありと判断します。例えば、遺族が定年間近(5年以内)のサラリーマンなど、定年であるということが記載されている就業規則等を添付すれば生計維持関係が認められます。また、前年にたまたま不動産等の売却で所得が多額であったとしても一時的な所得ならば、生計維持関係ありと判断します。

③受給権者には受給資格者のうち先順位の人がなり、後順位の人は受給権者になれません。また先順位の受給権者が失権しても同様です。

(第1順位)配偶者・子
{18歳到達年度末日(3月31日)を経過していない未婚の子、あるいは20歳未満で1級・2級の障害状態の未婚の子をいう。
夫は55歳以上。ただし60歳までは支給停止}
(第2順位)父母
(55歳以上。ただし60まで支給停止)
(第3順位)孫
第1順位の子の要件と同じ。
(第4順位)祖父母
第1順位の子の要件と同じ。

(3)遺族基礎年金の受給要件と年金額

ポイント:厚生年金の被保険者は同時に国民年金の被保険者でもあります。よって遺族厚生年金の受給権者のうち一定の遺族は同時に遺族基礎年金も受給できます。子は法律上の「養子・認知」でも大丈夫!


①遺族基礎年金の受給権者

「子のある妻」と「子」のみです。

「妻」は内縁関係でも認められます。

子は18歳の年度末まで、あるいは20歳未満で1級・2級の障害状態にありかつ、現に婚姻していない子

②18歳未満の子がいる場合、いくら加算されるの?養子でも大丈夫?

792,100円にこども2人までは、1人につき227,900円加算、3人目以降は1人につき75,900円加算されます。

子は実子、養子を問いません。死亡時に養子縁組していれば遺族基礎年金を受給できます。(但し、生計同一および生計維持関係が必要)

③子が18歳になるとどうなるの?

子は18歳の年度末になると失権し、すべての子が失権すると妻自身も遺族基礎年金のみ失権します。

(4)自営業の方の受給要件

自営業の方が亡くなった場合の受給要件は下記のとおりです。自営業の人は国民年金第1号加入者で第1号のみの加入期間しかない人が死亡したときにもらえるのは遺族基礎年金です。但し18歳年度末前の子がいることの要件は上記(3)と同様です。


①国民年金の被保険者が死亡したとき

②国民年金の被保険者資格喪失後60歳以上65歳未満で日本在住の人が死亡

③老齢基礎年金の受給権者が死亡したとき

④老齢基礎年金の受給資格者期間を満たした人が死亡したとき

(5)その他

他にも一定の条件のもと中高齢寡婦加算、寡婦年金、死亡一時金が支給されることがあります。